昆虫定期便 No.85

 山奥へ行く時、私は鈴・ラジオはもちろん、時に手を叩きながら歩きます。クマ出没のニュースは、山中へ行くことの多い私にとって他人ごとではありません。昨年は、私の田舎でもクマ出没情報がありました。対策に万全はありませんが、皆さんも用心に越したことはないですよ。 
  今回、出かけた上流部の風景。ー>


 5月下旬、車で2時間程かけ兵庫県と鳥取県の県境にある川の源流域へ遠征。一人で出かけており、山中で出会う人も全くなし。クマ対策で鈴・ラジオを鳴らしていましたが何となく不安もつきまとい、周囲をキョロキョロしながらの観察でした。
 京阪神では見られないウスバアゲハ。(*山に入る手前で撮影)

 羽が透けるほど薄く、頭部にオレンジの毛。ひらひらと舞うように飛びます。別名ウスバシロチョウとも言われますが、モンシロチョウ等が属するシロチョウ科ではなく、アゲハチョウ科に分類されます。近畿でも北部へ行けば見られますが、4~5月の春型のチョウ。

 渓流沿いの杉木立の合間から、一瞬トンボが目の前を通り過ぎ去って行きました。大きさからサナエトンボ系だろうと思いましたが、確認のために何度か行き来しているトンボを運良く網に。なんと「生きた化石」と言われるムカシトンボでした。図鑑で見て名前は知ってはいましたが、初めて実物を目にしました。中生代の三畳紀、ジュラ紀に分布し栄えた遺存種。ムカシトンボ科のトンボは世界にわずか3種しかおらず,その一つがこの日本のムカシトンボ(他の2種がヒマラヤと中国に)。幼虫の状態で5~8年程過ごしたり、ヤゴから成虫になる時の最終脱皮が1年前だったりと特殊な形態を持っています。

 出現期間が短く、生息地も局所的。「飛翔力が強く中々止まってくれず、見つけることは難しい」と聞いていたので、偶然とはいえ今回の遠征で見られたのは「運」。

 (写真はムカシトンボのメス *次に見た時、すぐ分かるように様々な角度から撮影します)
  この「ムカシトンボ」は、日本昆虫学会のシンボルマークになっています。

昆虫定期便 No.85” に対して1件のコメントがあります。

  1. 松田祐希江 より:

    クマとの出会いの危険を冒しても遠征された値打ちがありました。
    ムカシトンボをネットで調べてみました。5センチくらいのトンボでそれを、さっと捕虫網でとらえることができた幸運は、長年 昆虫に関わってこられたからだと思います。
    ヤゴの期間が長く、脱皮してからもえら呼吸から肺呼吸に変換するのに時間がかかるとありました。
    1億5千年前というとジュラ紀と白亜紀の境くらいで、原鳥類が出て始祖鳥が現れた時代です。
    凄いトンボですね。日本のこの環境に生き残っているのも凄い!

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